1の5のみんなへ
田中 正浩 
 たまごっちがブームになっている。製造が追いつかず、すごいプレミアがついているらしい。おなかがすいたり、遊んでほしいときはピーピー鳴く。そのたびに飼い主はボタンを押してご飯をあげたり、遊んでやらないといけない。ちゃんと育てないと蛇になったり、おやじになったりするし、うんちを片づけないと死んでしまう。
 コンピュータが小型・高性能化するにつれ、こうした「おもちゃ」が開発され、流行に敏感な女子中・高生がそれにとびつく。ポケベルやプリクラなどもその流れ。我々大人だって日々ディスプレイの前に座り、夢中でキーボードをたたいたり、マウスをクリックしたりしているから「コンピュータに遊ばれている」のは同じなのかも。
 その点、教師の仕事はすごく人間的だ。いくら技術が進歩しようと生身の人間にはかなわない。確かに、ちょっと目を離すといらんことをしたり、手のかかる「たまご」たちを相手にするところはゲームと似ているけれど。
 この一年間、1の5を担任し、色々困ったこともあったし、楽しいこともあった。教師だって人間だし、調子の悪いときもあれば失敗もする。クラスも同様に、授業評価で2がついたと思ったら突然オール5をとってみたり。
 でも、33人の「たまご」たちはこの一年間で人間的に大きく成長を遂げた(と思う)。もちろん、今後いろんな意味でもっと勉強して立派な大人になってもらわないといけないが。で、僕もみんなのおかげでまた一つ経験を積ませてもらった。どうもありがとう。
(1997.3.21)