田中ひろ子のノボシビルスク通信(1)
(「日本とユーラシア大阪府連版」2008年11月15日号掲載)

「教師の日」、生徒達が一日教職員役を

日ユ協会大阪府連の皆さん、こんにちは。シベリヤのノボシビルスクから田中ひろ子がレポートします。杏菜のバイオリン留学に付き添ってのロシア生活も3年目に入りました。今回のレポートでは音楽教育中心だった本紙の連載とは少し趣を変えて、ロシアでの生活ぶりをご紹介したいと思います。

 日本にはなくてロシアで真剣に取り組む祭日のひとつが、105日の「教師の日」です。この日小学校から大学・各種教育機関の先生方は、生徒から祝辞とともに花束やプレゼントを受け取ります。学校内は先生方の写真や祝辞のポスターで飾られます。ロシアでは小学校から高校まで一貫システムなので、この日上級生(9,10年生、16,17才)は先生方に代わって下級生のすべての授業を行ないます。各教科の先生役、校長・教頭役、保健室の先生、記録ビデオ係など、つまり「一日教職員」ですね。教科を教えるのは事前に担任が許可した優等生のみ。管理職役はすべての授業が滞りなく進んでいるかに気配りします。全員スーツにネクタイ姿の正装です。授業を受ける下級生もこの日だけは彼らを「名前+父称」で呼ばなければなりません。「一日教職員」から先生方への祝辞にはどこからか探し出した「先生を讃える詩」の暗唱が不可欠で、その準備もしなければなりません。お祭りといいながら学校には常にない緊張感が漂い、積極的・創造的に祭りを楽しむロシア文化が実感できる一日です。