生徒に望むこと
〜あいさつに代えて〜
田中 正浩
今、「アンダーグラウンド」という本を読んでいます。地下鉄サリン事件の被害者たちの証言を綴ったものです。当時は日本中大騒ぎだったので、すっかり知っているつもりになっていました。
でも、この本を読んでみて初めて、自分が何も知らされていなかったことに気付きました。テレビや新聞は多くのことを語ってくれましたが、それは氷山の一角にすぎなかったのです。
学校の授業も似ています。教科書に書かれてあることは、人類が営々として築き上げてきた素晴らしい文明のごく一部の情報でしかありません。生徒諸君は表面的な学習に満足することなく、その本質を見抜く力をつけてほしいと願っています。
(1997.6『巨椋野』)