卒業生のみなさまへ
                    田中 正浩
 ロシアのタンカー「ナホトカ」が日本海で沈没し、大量の原油が流れ出して大問題になっている。多くのボランティアが厳寒の中、必死で原油の回収をしている。死者さえ出た。老朽タンカーを酷使していたロシアの輸送会社が責任を追求されているが、そもそも産油国のロシアがどうして原油を輸入しなければならないのだろう。
 五年前にソ連が崩壊し、急激な自由化が経済を破綻させた。鉄道運賃は急騰し、採算が合わなくなった。結果、シベリアには世界有数の油田があるのに、わざわざ中国などの安い原油を買い付けることになったのだ。
 ここでロシアを笑うつもりは毛頭ない。先日、三池炭坑が閉山になるという記事が載っていた。資源の少ない日本にあっても、石炭はまだまだ埋蔵量があり、貴重なエネルギー源だという。それが国の政策で打ち切られる。(減反しなければ自給できるのにとうとう輸入自由化を決めてしまった「米」もまた同じ。)
 国際化の時代といわれている。君達はその申し子だと。プリクラやポケベルに夢中になるのもいいだろう。たまにはSSやPSで暇つぶしも結構。しかし、そろそろこの国の将来を真剣に考えないといけないのではないだろうか。つまり、国民である君達や僕達ひとりひとりが、もっと責任を持って参政権を行使しなくては。さもないと近いうちに(彼の国のように)まわりの国に迷惑をかけて大恥をかくことになる。
 そういう自分はどうなんだと叱られそうだが、こういう文章を書くだけでもちょっとはましかな、と勝手に納得している。まあ、とりあえず、卒業おめでとう。
   '97.2.20