IT時代の「少女」
田中正浩 
 「IT革命」という言葉が流行した。ITというのは情報技術のこと。パソコンの発達、インターネットの普及が世界を大きく変えつつある。それはまぎれもない事実だ。
 しかし、同時にその技術を生み出し、情報を操るのは我々人間である。だから間違うということもある。
 フェスタの演劇を思い出してほしい。主人公の「少女」は「ライフ・ナビゲーター」に自分の人生の選択権を奪われそうになる。「すべての情報をインプットすればあなたの人生はコンピュータが決めてくれる」と。
 結局、悩んだあげく少女は自分で人生を決めることにする。こうして彼女の人間性はかろうじて保たれたが、「IT」はそんな危険性を常に内包している。情報に振り回され、利潤追求のために人間性を喪失してしまいがちな現代だが、21世紀こそは、夢と希望に満ちた温かい社会、誰もが幸せに暮らしていける世の中を作っていこうではないか。
(2001.2.9)